子会社のMBOはグループ全体での相談も必要

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M&Aの手法の一つであるMBOは経営陣が参加する企業買収です。経営陣が所属している事業の特定部門や関連企業を買収して独立する手法で、分社化や事業売却、あるいは事業撤退を目的とするものまでさまざまです。株式公開買い付けを意味するTOBでは、競合する企業や投資目的のファンドなど外部者が買収するため敵対的な側面が多いのに対し、MBOの場合は親会社内部だけでなく、該当する子会社、場合によってはグループ会社全体での協議や相談がなされ、十分なコンセンサスを得て実施されるので、友好的買収という側面が強く、一種ののれん分けの性格を有することがあります。大別すると四つのパターンがあります。日本で最もポピュラーなのは、切り離される形になる事業部門や子会社の経営責任者が買収の主役になるダイベストメント型です。このほか事業承継型、非公開型、事業再生型があります。

日本の企業風土になじむ子会社のMBO

企業の形態には1社だけの単独企業のほかに、親会社とその傘下にある子会社などのグループというパターンがあります。子会社の経営陣が事業の継続を前提として本体企業から株式を取得し、経営権を得て独立するのはMBOの典型的なパターンです。大きな資本力を持つ本体から独立することで資金確保の心配や従業員の不安が生まれそうといったマイナスイメージもゼロではありませんが、基本的には現経営陣や従業員の雇用は継続することが前提となっている親会社と連携した友好的な事業買収なので、敵対的買収と比すれば子会社にとってもメリットが多く、日本的な企業風土にマッチすると評価されています。グループとしてみた場合も、成長分野に資金を集中することで経営効率のアップが期待されます。新会計基準の連結決算導入によって不採算部門の切り離しを目的とするケースもありますが、この場合は子会社の立場を忖度して、企業群全体の協議や相談をベースに資金フロー、従業員の再配置などが合理的に進められる必要があります。

切り離し策という観点から経営の効率化へと視点変化

MBOは欧米で1980年代から1990年代にかけて活発化し、日本では1990年代後半から徐々に増えてきました。当初は業績不振の子会社の構造改革、グループ全体の事業再編を促すなど、いわゆる選択と集中という日本経済全体のスローガンのもとで推進された不採算部門の切り離し策という色合いが濃かったのです。しかし近年は子会社のメリットを考慮したケースが注目されています。独立することで経営の効率化と迅速な意思決定が図れます。2007年に経済産業省が出した企業価値の向上および公正な手続き確保のための経営者によるMBOに関する指針が出されて以降、指針に準拠した施策が定着して産業界の理解と活用も深まってきました。しかし最適な措置の選択は個々の事案で異なるため一律の対応では十分とはいえません。実施に踏み切る際には子会社の立場を十分考慮して、膨大な情報量と分析能力を持つ専門企業に相談してベストの選択を求めることが大切です。

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